全部を背負わないという選択
仕事の場には、目に見えないプレッシャーがたくさんあります。
「ちゃんとやらなきゃ」
「迷惑をかけちゃいけない」
「人間関係を円滑に保たなきゃ」
そんなふうに自分を追い込んでしまうこと、ありませんか?
もちろん責任を果たすことは大切です。
でも、それを「すべて自分ひとりでやること」だと誤解してしまうと、いつのまにか限界を超えてしまうことがあります。
そんなときこそ、小さく「線を引く」ことを思い出してみてほしいのです。
それは、投げ出すためでも、関係を切るためでもなく、 無理をせずに働きつづけるための、やさしい調整 です。
誰かの仕事を「代わりにやらない」
チームの誰かが遅れていると、つい手を出してしまう。
人間関係を壊したくなくて、自分の作業を後回しにする。
そんなふうに「代わりに背負う」ことが、習慣になっていませんか?
もちろん助け合いは大切です。
でも、「いつも代わりにやってくれる人」になると、境界はどんどん曖昧になります。
◎まずは「気づいても、すぐには手を出さない」
◎「困ってたら声はかけるけど、やるかどうかは相手に任せる」
こうした距離のとり方ができると、 その人自身が自分の責任を引き受ける場面 も自然に増えていきます。
それは、冷たさではなく、信頼のかたちでもあるのです。
感情に「反応しすぎない」
誰かの言葉がきつかったとき、無視されたように感じたとき、チームの空気がギスギスしているとき。
そんなとき、全部に反応してしまうと、心がすり減ってしまいます。
◎深く考えすぎる前に、いったん立ち止まる
◎「あの人の状態=わたしのせい」ではないと切り分ける
感情に距離をとるのは、鈍感になることではありません。
自分の余白を守るための境界 です。
少し引いて見ることで、本当に必要なことだけが、すこしずつ見えてきます。
「すべてを共有しない」関係も、ある
チームでの信頼関係は、情報の共有や感情のやりとりから生まれることもあります。
でも、それは「すべてを開示すること」とは違います。
いつも気持ちを共有する
すべての予定や考えをオープンにする
そんなふうに 常に100%の透明性を求める関係 は、どこかで息切れしてしまいます。
◎「伝えたいときに伝える」でも、じゅうぶん
◎「必要な人にだけ知らせる」という判断も、健やかさのひとつ
話さない自由、黙っている自由 があってこそ、チームの中での居場所が自然に育っていきます。
自分を守ることは、チームを守ること
「自分を守る」と聞くと、わがままに感じる人もいるかもしれません。
でも本当は、 誰かの役に立つためには、自分を守ることが不可欠です。
無理をしない
全部を引き受けない
気持ちをためこまない
そうやって引いた境界は、やがて 長く続くチームのやさしさ として返ってきます。