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両側面の調和

境界のある暮らしを実践する上で、決して欠かすことのできない重要な視点があります。
それが両側面の調和です。

この思想は、単に自分の領域を守るという一方向の自己完結を目指すものではありません。
私たちが他者と共に生きるこの世界において、コントロールできる領域とコントロールできない領域が常に表裏一体であることを深く見つめる。
その双方向の思考がなければ、境界はたちまち摩擦や衝突を引き起こしてしまいます。

人間関係において摩擦が生じるとき、私たちは無意識のうちにどちらか一方の視点だけを優先してしまいがちです。相手の領域を無視して自分の正解を押し付ける側(侵略する側)の視点に偏れば、反発の連鎖が生まれます。

一方で、ただ侵略された側を救済し、守ろうとするだけでも問題は解決しません。
相手を被害者とし、他者や環境を悪者にしてしまう思考は、関係性そのものを深く傷つけ、結果としてまたしても双方が疲弊する結末を迎えます。

ここで必要となるのが、侵略された側も、侵略した側も同時に救済できる視点です。
違う人間同士が集まり、適材適所で役割を分かち合うように、コントロールできる自分の領域と、コントロールできない相手の領域のを同時に尊重し見つめること。

​そして、この思想における誰も悪者にしないという真髄は、決して「どんな相手でも受け入れ、赦さなければならない」という強制や道徳の押し付けではありません。
もし、相手をどうしても悪者に感じてしまうのなら、もちろん無理をして関わる必要はないので、自分から関わらないという選択をすることも必要な間合いです。

誰も悪者にしないとは、そうしなければならない義務ではなく、お互いの領域を正しく認識し、適度な間合い(半分で関わること)を保つことで、結果として誰も悪者にしないで済む状態を自然に創り出せるということなのです。

自分自身の領域を明確にし、他者の領域へ過剰に干渉しないことで、不思議なことに周りは自らの意志で動き始めます。そして複数の広い視野を持ち、互いの領域を深く尊重し合えば、表面的な対立もやがて自然な調和へと溶けていきます。

関わり過ぎによる疲弊から解放され、誰も犠牲にすることなくありのままでいられる関係性へ。この両側面の調和こそが、境界という概念を対立の火種から、共生のための優しい間合いへと昇華させるのです。

 

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